2009年10月16日

喜怒を色に形さず(三国志)

喜怒を色に形さず(三国志)

『三国志』の劉備は、「語言少なく、善く人に下り、喜怒を色に形さず」と評された。寡黙で謙虚、しかも「喜怒を色に形さず」と、リーダーとして長所を三つも持っていたという。

 組織がピンチになったとき、部下は必ず上の者がどうか出るか、その顔色をうかがう。
 しかし反面、われわれ日本人がへたにこれをまねると、冷たいとかとっつきにくいといったマイナス・イメージがでる。そうならないためには、これと同時に「温かさ」が必要になる。

 喜怒哀楽の感情を顔に出さない、つまり、いつも淡々と事態に対処するということで、リーダーに対するほめ言葉といえる。
(以上、守屋洋訳著「中国古典一日一話」(三国志))


 何もしなければリーダーは必要ないが、社会の中で必ず、誰かが何かを始める。高い思い、楽しみを作ろうとする優しさ、これを成功させるには、人が集うことになる。誰かが、計画を立て、世話役が自ずと決って行き、リーダー格が発生し、決断をする人間が出てくる。不思議なものと思います。

 リーダーの座る人は、日々騒々しい人が座ることは、あまり無いように思います。人の意見を聞く人、調整を出来る人、キツイこと、汚れること、厳しいこと、を厭わない人がどうも頼れる存在になると思います。
 
 以前にも書いたのですが、真のリーダーは目立たない。銀行強盗を手際よく捕まえる支店長より、銀行強盗に入れない雰囲気を作る支店長が、真のリーダーと言えると思う。時が過ぎないと人の評価は分からない。

 歴史に顕彰の中で、人は100年くらいしないと真の評価は難しいと語った教授もしました。噂話、誇張、風潮は、時が過ぎだんだん削ぎ落とされ、生身の人間になるには、100年くらいかかると、歴史研究者が教示する。

 2000年の時を越え、劉備は生身の人間からさらに、昇華し「英雄」となり、中国だけでな日本や世界で、偉人の一人となった。現代の批評,風潮は、馬耳東風と聞き、自分の信じる道を進むことが、一番大事なのかもしれません。

*参考資料:守屋洋訳著「中国古典一日一話」


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Posted by ノグチ(noguchi) at 23:01│Comments(0)偉人
 
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