(老子の言葉)生きているあなたがいちばん尊い

ノグチ(noguchi)

2009年03月03日 22:43

(老子の言葉)生きているあなたがいちばん尊い

~大患を貴ぶこと 身のごとし~(老子)

一切、世の中の運命の流れにまかせてみる

(本文)
 栄誉、財貨、地位を得ようと思って、あくせく、悩み、策略をねる。多くの人は、栄誉、財貨、地位の獲得のために、患っている。人は、上へ上へと登りたがる。
「愛して身をもって 天下と為せば、及(すなわ)ち、もって天下を託すべし」(老子13
章)
まずは、自分自身の教養を高め、人格を高揚し、才智を伸ばすことを楽しみとして、栄誉・財貨・地位を得られるかどうかは、一切、世の中の運命の流れにまかせる。(中略)

 世には、「俺が、俺が」の発言現場を見ることがあります。また、これは俺の実績を誇張する場面をみます。司馬遼太郎氏の著書「人間というもの」に次の一節があります。

(本文)
「仕事というものは、全部をやってはいけない。八分まででいい。八分までが困難の道である。あとは二分はだれでもできる。その二分は人にやらせて完成の功を譲ってしまう。それでなければ大事業というものはできない」(「龍馬がゆく 八」)


司馬氏の言葉には、老子の教示を思い出させる感を持ちます。大きな事業は、日々の色々な積み重ねでしか実現しません。しかし、社会の変化の中で、「晴れの場」にふさわしい人が、言動すると「光」を放ちます。

 このことを司馬氏が教示しているのではないかと感じます。様々な社会活動の中で、良いことを広めようとして、地道な活動を起こしますが、少しばかり名が広まると、当初の目的から、自分の存在感を示したい気分をもちます。実はその変化の瞬間に、それまでの地道な活動が色あせて見えることはあります。
 
>その二分は人にやらせて完成の功を譲ってしまう。

成功を導いたのは自分の活動と、最後の晴れやかな場は、後世につながる人々へ託し、舞台(社会)を見物する一観衆になって、変化を検証できる視点(感覚)を持ちたいと思います。

色々ご意見を頂ければ幸いです。

*参考資料:境野勝悟編著「老子・荘子の言葉100選」
      司馬遼太郎著「人間というもの」


宇土市 野口修一(建築家)

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