(徳育教育)真のリーダーに必要な要素「風度」とは何か
中国古典を何冊か読む中で、リーダー選びの尺度に「風度(ふうど)」なる価値観があったことを知りました。
今読んでいる童門冬二氏の著書「義塾の原点」のあとがきに、「風度」を備えたリーダーの登場が必要とありました。また、現代の若者も中堅も、そのようなリーダーの指導を受け、自分を磨く必要があろと、童門氏が語っています。
その「風度」を備えた人物とはどんな人物かというと、以下「義塾の原点」あとがきを一部転載します。
(以下、転載)
現代のリーダーに必要な要素は、「先見力、情報力、判断力、決断力、実行力、体力(健康)」といわれる。
しかし、これだけではダメだ。リーダーはやはり、「指導される者から、゛なら゛といわれなければならない」といわれる。
「この人物のいうことなら信頼できる」とか、「この人のやることなら真似してもよい」
というような影響力が必要なのである。それにはすぐれて、「ならと思わせるらしさ」が必要になる。
この゛らしさ゛のことを中国文学者にいわせれば「風度(ふうど)」というのだそうだ。したがって遠隔地の地で、「あの先生のところへ行って学ぼう」と思わせるためには、この風度が強くなければならない。
それは単に天性のものではなく、人格・風貌・風格・気品・能力・親密さ・愛嬌・魅力などが混合して、一種の雰囲気を発散するということだ。単に人を惹きつける魅力だけではない、「底が知れず、幅もわからないほどの教養」を身に付けている人物のことである。(中略)
(以上、「『義塾の原点』あとがき」抜粋)
その時代に何人も居るような人物ではないかもしれませんが、歴史を調べると、現代まで名を残している指導者が、世界各地にいます。
老子、孔子、孟子、ブッダ、ソクラテス、キリスト、などなど。日本では、聖徳太子、織田信長、徳川家康、幕末では西郷隆盛、坂本竜馬、・・。
現代の風度を備えた指導者は誰でしょうか。それは、100年後、200年後の人たちが評価することで、まだわかりません。
しかし、江戸期に全国各地に、若者を指導した色々な教育者がたくさん居た事が、日本が欧米列強の植民政策に対抗できたのだと思います。日本独自の地方の私塾は、知識だけでなく人格を育てることを中心に教育が進められたように思います。
知識だけを詰め込む現代の教育から、人の心を育てる徳育を中心にする、教育に転換をする時期に来ているように思います。
*参考資料:童門冬二著「義塾の原点」