(子への訓示)子供の天啓に望みをかける~名著「陰隲録」を読む

ノグチ(noguchi)

2009年04月08日 15:58

(子への訓示)子供の天啓に望みをかける~名著「陰隲録」を読む~

 昨年、永淵道彦先生の教書「開運のすすめ」の元は『陰隲録(いんしつろく)』(袁了凡著)ですが、別解説本に親の考えを子どもに託す一節があります。
 以前もミクシィで紹介したのですが、新学期の始業式・入学式に当たり、人が生きる上で何が大切か、考える機会にしたいと、自分が忘れないために再度日記にしました。
 ご一読頂ければ幸いです。(以下、仙田美智子著『積善・謙虚のすすめ』から)



・子供の天啓に望みをかける(袁了凡)

【現代語訳】

 我が子天啓よ、お前の運命がこれからどのようになるかは、私には分からない。

 もし運命がお前を高位高官に登らせてくれるのなら、常に落ちぶれた時を考えればよい。

 もし運命が都合よいようにめぐりあわせたならば、常に思い通りにならないときのことを思ってみよ。

 もし生活に困ることがないならば、常に貧乏のときの考えをせよ。

 もし人に敬愛されるようになったならば、常に恐れつつしむ心を忘れるな。

 もし家が世間から評判がよくなったならば、常にへり下っだった心を持たなければならない。

 もし学問がたいへん優秀になったならば、常に未熟な時のことを思い出すべきである。

 このように慎んで、遠くは祖先の徳を揚げ輝かすことを思い、近くは父の過失を補うことえを考え、上は国の恩に報いようと思い、下は家門の福をつくろうと考え、外では人の困ることを救うことを考え、内では自分の邪(ヨコシマ)をふせごうと思い、つとめて毎日わが非を知り、日々己の過ちを改めることをせよ。

 一日の非を知らずにすごせば、すなわち一日みずからこれでよいとして安易にすごすことになり、一日己の過ち改めることがなかったならば、一日進歩もないことになる。

 天下には耳さとく目明らかに、かしこくすぐれた人物がたくさんおるが、そのものたちが、一段と徳を修めることもなく、功業もひろまらないわけは、ただ因循という二字のために、一生をふりまわされてしまうからである。

 雲谷禅師が授けてくれた立命の説は、いたってくわしく、いたって奥深く、きわめて真に、きわめて正しいところの道理である。だからお前はこのことをよくよく熟慮玩味(ジュクリョガンミ)して、一生懸命に行い、日月を安易に送ってはいけない。


【読 釈】

 わが息子、天啓に対し、人としての生き方、過ごし方を具体的にくわしく示し、毎日を安易に過ごすことへの恐れを知ることの大切さを述べている。


【感 想】

 子ども人が自分の現状を省み、自分だけでなく、関わる人たちのこと、さらに逆境にある人たちのことも想像すことも忘れないように、親が子へ託す思いを忘れてはならないと思います。

 以前、著者の仙田美智子さんを指導された永淵道彦教授から、「物事は多方面から考えること」を指導いただき、また自分に縁の在る方も思いやることが大事と説からました。

>一生懸命に行い、日月を安易に送ってはいけない。

すばらしい教示と思いますし、家庭教育が最も大事と感じます。


(注1)『陰隲録(いんしつろく)』袁了凡著
 著者袁了凡が、自分の体験を子供に書き残した偉大な人生のダイナミックな学問

(注2)袁了凡(えんりょうぼん)1533年~1606年  
 明の大儒。はじめ学海と号したが、後、了凡と改む。王陽明の高弟王龍渓に学ぶ。進士の試験に及第し、宝抵知県(河北省)の知事に任ぜられた。著書に『陰隲録』など。

*参考資料:仙田美智子著『積善・謙虚のすすめ』~名著「陰隲録」を読む~


<関連コミュ>
・開運のすすめ~『陰隲録』に学ぶ~(永渕道彦訳)
 http://mixi.jp/view_community.pl?id=3058451


関連記事