苦中の苦を受けざれば、人の上の人たること難(かた)し
(現代語訳)
「苦中の苦」すなわち極限状態の苦労を体験した人物でなければ、人の上の人に立つ資格がないというのだ。
(解 説)
「電力の鬼」と言われた松永安左衛門は、若手社長などが会いにくると、よく、
「人間はな、三つのことを経験しないと、一人前にはなれへん。一つは闘病、二つ目は浪人、三つ目は投獄だ」
と言った。じっさいに、松永氏自身が体験したというから、それなりに説得力がある。
(感 想)
現代は、投獄までされることは、犯罪をしない限りありえませんが、艱難辛苦を潜り抜けたものだけが、人の上に立てる人間になれるという教示と思います。
しかし、「苦中の苦」と経験したものが上に立てると限らないが、そういう経験をすれば、必ずや人を見る目もでき、逆境に耐えるたくましさも身に着いてくるだろう。
「苦中の苦」を苦にせず、その境遇で鍛えるくらいに気構えが欲しいものです。
*参考資料:『通俗編』~守屋洋編著「中国古典一日一話」