目につきやすい功績は、真の功績にあらず(孫子)
~敵が戦いを挑んでくる余地にない状況をつくる~
「孫子の兵法」の解説書に、戦上手は絶対に敗れないとあった。それはそうだと思うのですが、さらにもっと上の人物がいるとあった。
勝か負けるか予断を許さない状況で、戦いを挑み、奮闘の末、辛うじて勝った場合、その指揮官は名将といえるか? 答えは、「否」です。
本来の名将は、拮抗するような危機に持ち込む以前に、敵が戦を挑んで来る余地のない情勢(戦意喪失)を作り上げる。つまり「目につきやすい功績は、真の功績にあらず」と言うこと。(本文、抜粋)
孫子の「不敗の地に立ち、敵の敗を失わざる」の教えを、現代風に解説してみると次のようなります。
世界から銀行強盗のニュース、日本でも金融機関、現金輸送車が襲われる事件が起ります。ニュースで、「勇敢な行員が犯人を取り押さえた」と報じ、勇敢な行員と称えます。
しかし孫子が現代に生きていたら、この取り押さえの行為は誉めるかもしれませんが、強盗に入られたことを厳しく糾弾すると思います。支店長の予防策の「無策」を指摘するはずです。
警察に聞くと、必ず犯人は狙っている金融金柑を下見に来るそうで、「ここは警備が手緩い」、「ここは止めたほうがよい」と、検証してから準備して実行する。
犯人の襲撃を敬遠させるような雰囲気をつくる事が、挑んで来る余地のない状況を作り上げます。ですから、「名将に赫々(かくかく)の武勲なし」。
犯人が「銀行強盗を止めよう」を思わせる支店長の手腕こそ、名将(リーダー)といえると思います。
「故に善く戦うものは、智名無く」
犯人に襲われてから勇気を持って対応する支店長より、襲わせない堅固な守りこそ大事という教えと思います。
>敵が戦いを挑んでくる余地にない状況をつくる
色々な分野にも通じる考え方と思います。参考になれば幸いです。
*参考資料:矢沢永一・渡部昇一編著「孫子・勝つために何をすべきか」