自負し過ぎない者は、自分で思っている以上の人間である
私は、長い小説はあまり好んで読みませんが、作家が自らの体験談や、あるいは誰かと対談したものの記録は、人間性が出てとても興味深く読みます。
それと、もう一つが「格言、名言、名スピーチ」に興味が湧きます。アメリカのオバマ氏の就任演説が、ベストセラーになるように、人々は、心躍らせる言葉を探しているように思います。
そんな中で、詩人のゲーテの言葉を集めた「格言集」に、今でも居そうな目立ちたがりの人間を表現した言葉がありました。
(本文より)
良いものを正しいものを完成させるための純粋な中庸を得た活動はきわめてまれである。
通常われわれが見るのは、もったいぶってだらだら長びかせる偏屈か、性急に功を急ぐ図々しさかである。
(「格言と反省」)
自分の知っていることは自慢し、知らないことに対しては高慢に構えるものが少なくない。 (「格言と反省」)
こんな人、今でも居ると思います。「井の中の蛙」ではないですが、自分の狭い視野で
生きている人々、というか族たちです。
これと似たような表現は、老子、孔子の教示にも何度も出てきます。人間やはり、反省し、謙虚に自分の能力、立場を考える事が必要と思います。ゲーテの言葉に、次に一節がありました。
自負し過ぎない者は、自分で思っている以上の人間である。
(「格言と反省」)
「能ある鷹は爪を隠す」は、故意に自重する意味の言葉ですが、能力・人格と言うのは、日々の言動の中で、おのずと伝わるのだと思います。「ハレ」の舞台でどれだけ演技をしても、日常の態度、言葉から、「ボロ」がこぼれるのだと思います。
陽明学の言葉に「事上磨練」の教示があります。
事上:日々の仕事、生活
磨練:学習、鍛錬、
日々の生活・行動を反省することこそ、自分自身の人格を高める機会なのかもしれません。
*参考資料:高橋健二編訳「ゲーテ格言集」
王陽明「伝習録」(陽明学)
<(携帯論語)心を育てることば>
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