〈夏の一句〉日本の風情を思い出し、新しい節電の知恵を考える
おはようございます。
昨夜のNHKの『クローズアップ現代』で、今夏の節電の実情の厳しさから、2度目の夏は、企業も市民も、更なる節電の知恵と工夫しはじめた。
更に発電所と市民・企業が共同して、新しい電気料金の体系を模索し始めたという報告だった。
高度成長期を支えた電力会社だったが、東日本大震災の後は、社会の不良債権的な見方をされた。現実の社会は、電力無しでは社会は動かない。
ふと数年前に買った、松尾芭蕉と与謝蕪村の句集を、思い出した。
松尾芭蕉
「夏草や兵どもの夢の跡」
『おくのほそ道』に入っている、東北の平泉で、読まれたものと言われています。平泉は、藤原三代(清衡、基衡、秀衡)の隆盛の跡といわれています。
旅の終りに詠んだ名句
「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」
実は、この旅の始めに詠まれた句があった。
「麦の穂を便りにつかむ別れかな」
初夏の収穫前の黄色く実った麦の穂の道端で、高齢を押して陸奥に旅をしようとする松尾芭蕉の決意が伝わる句のように思います。
与謝蕪村の夏の一句
「夏山や通いなれたる若狭人」
よく、松尾芭蕉と比較されるのが、与謝蕪村ですが、若さを感じる夏の北陸商人たちの生き様です。
今年は、昨年よりも厳しい節電の夏、冷房機器が無かった江戸時代の夏、様々な涼を工夫し楽しんだ習慣を学ぶ、よき機会と思います。
松尾芭蕉の爽涼の一句
「清滝や波に散り込む青松葉」
滝の水しぶきを浴びた松の枝が、暑い太陽の光をキラキラ反射している。その滝の近くは、木立の影もあり、周りより気温が数度下がっている。涼を感じる一句。
戦前の日本には、打ち水、行水、日よけ等々、江戸の夏を楽しむ工夫が、まだ残っていた。今年の夏、日本の風情を思い出し、節電を楽しみたいものですね。
※参考資料:竹西寛子編「松尾芭蕉集、与謝蕪村集」