人の心を満足させることはむずかしい。〜菜根譚〜
人の心を満足させることはむずかしい。〜菜根譚〜
最近、怨恨やストーカーから、放火殺人や複数人の殺傷事件が続けてニュースで報じている。人の欲望の腹いせからの恨みによる殺人の恐ろしさに、背筋が寒くなる思いを持つ。
『菜根譚』に、以下の訓示があった。
「人の心を御(ぎょ)し難い」
人の心を制御することが、いかにむずかしいか!
解説文にも、以下の言葉があった。
(以下、本より天才的
古い言葉にも「猛獣を降伏させることはやさしいが、人の心を降伏させることはむずかしい、深い谷を埋めることはやさしいが、人の心を満足させることはむずかしい」と言っている。
(以上、『菜根譚』後集No.64解説より)
猛獣や敵を降伏させることはできるが、自らの心を制御することはむずかしい。
目的を達成することはできるが、進化し膨れる欲望を抑えることはむずかしい。
古い時代にも、同じような人の営みがあったのだろう。自らの心とどう付き合って行くか、いくつになっても悩むことです。
陽明学に、抜本塞源論なる教えがあります。
心が欲する"悪意"の素を断つ。
"悪意=欲"の素ができることを抑え込む意志が大事、と王陽明は考えた。
欲望が表面化(心に留まる)する前に、断ち切ることが必要と説いている。
抜本塞源論は、老若男女の全ての人間に共通する人の欲望を抑える考え方です。
これは、"足るを知る(知足)"の教えよりもきびしい教えと思っています。
関連記事