(子供の教育)先生を選べ、友を選べ、土地を選べ、そして我慢
子育ては、親の一人ひとりが違った悩みを持っていると思います。わが家は、二人に子供ですが、まったく違う性格と興味、子供と一緒に悩みながら暮らして来て、今は良き思い出しか思いうかばないのは不思議な気がします。
何時の時代も子育ては、親も始めてのこと、子供と一緒に成長するのだと思います。昔の智恵を知ることも、ヒントになるかと思います。江戸後期の儒家・佐藤一斎の語録を集めた「言志四録」に、子供の教育のことが書かれていた。
「子を教うるには、愛に溺れて以て縦を致す勿れ。善を責めて以て温を賊(そこな)う勿れ」
(意味)
子供を教育するには、溺愛してわがままにさせてはいけない。善行を強いて親子の感情を損なってはいけない。
「忘るること勿れ、助けて長ぜしむること勿れ。子を教うるも亦この意を存すべし。厳にして慈。是れも亦子を持つに用いて可なり」
(意味)
子供も教えるには、「いつもそれを心に留めて、忘れてはいけない。早く育て上げようと焦って、助長してもいけない」のような心を持つべき。厳格でありがなら慈愛の情を持つというのは、これも子供を扱ううえでよいことである。
「子を易(かえ)て教うるは、固(もと)より然(しか)り。余謂(よおも)えらく、三つの択(えら)ぶべき有り。師択ぶべし、友択ぶべし、地択ぶべし」
(意味)
昔の人は子供を取り替えて教えたというが、誠に結構なことである。自分が思うに、三つの選(択)ぶべきものがある。それは、「先生を選べ、友を選べ、土地を選べ」と言う事である。
(以上、「言志四録」より)
ちょっと説明が長くなりました。わが家の子供も、20才、17才になりますが、振り返るに、上記に三節の教え、そして最後の三つの選択をやって来ただろうと思い返します。 昨日の「縁尋機妙」ではないですが、親の欲目では見つけられない子供の能力を、見識ある師、切磋琢磨する友人、そして志ある人たちが集う場を、親がいかに提供できるかにあるのかもしれません。
<佐藤一斎の「子供の教育訓」>
一、溺愛しない、善行を強いない
ニ、心に留めて、忘れない。焦って、助長しない。
三、先生を選べ、友を選べ、土地を選べ
これは、自分育てにもつながる教示と思います。孟子の教えに「浩然の気」という心を育てる教えがありますが、「心に留めて、忘れない。焦って、助長しない」が肝心とあります。急がず、その子供(自分)にあわせた学びを継続する事が大事なのかもしれません。
*参考資料:渡邊五郎三郎編著「斉藤一斎一日一言」(言志四録)
<以前のブログ>
・一直線に走る人は失敗する ~美成るは、久しきに在り~(荘子)
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・縁尋機妙 多逢聖因 ~今日を大事に生きる~
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