引き際を誤るな~人に千日の好なく、花に百日の紅なし~

ノグチ(noguchi)

2008年06月26日 00:20

引き際を誤るな~人に千日の好なく、花に百日の紅なし~


(現代語訳)
 事業がいきづまって進退きわまったときには、初心に立ち返って失敗の原因を考えて見るがよい。

 事業が成功してすでに頂上をきわめたときは、いさぎよく身を引くことを考えなければならない。


(解 説)
「人ニ千日ノ好ナク、花ニ百日ノ紅ナシ」、つまり、全盛期は長く続かないというのが中国人の認識である。だとすれば、頂点をきわめたその瞬間に、早くも引退の準備にかからなければならない。

『老子』に、「功遂ゲ身退クハ、天ノ道ナリ」とあり、『史記』にも、「四時ノ序、功ヲ成ス者ハ去ル」とある。だが、現実には、「進ムヲ知ッテ退クヲ知ラズ」(『易経』)で、引退の潮時を誤る者が少なくない。

 ここで洪自誠が戒めているのも、そのことである。 


(感 想)
 「自分は、よく見えない」と、地位にこだわり、苦杯を飲んだ人がよく言うと色々な本で読みます。

「進ムヲ知ッテ退クヲ知ラズ」は、退き易きように後継者を育てることの大切さを説いているとも言えます。

 また、絶頂期は長く続かないことも知っておいて損はないと思います。
 「人ニ千日ノ好ナク、花ニ百日ノ紅ナシ」を読むと、古き時代から人間の迷いが、幾度となくくり返されて来た事がわかります。

平家の絶頂期が長く続かなったことを語った「驕れるものも久しからず・・・」にも表れています。

「初心に返れ」、「引き際を誤るな」は、事業を行う者として、決して忘れてはいけない教訓と思います。

*参考資料:守屋洋著「新釈 菜根譚」より


<コミュ>
・菜根譚(さいこんたん):洪自誠著、守屋洋著「新釈 菜根譚」
 ~中国古典の名篇を、混迷・不安の時代を生き抜く指針として凝縮~
http://mixi.jp/view_community.pl?id=2310909

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