2022年06月20日

<事を成すにはタイミング大事>助けを求めて吉(水雷屯)〜『易経』〜

<事を成すにはタイミング大事>助けを求めて吉(水雷屯)〜『易経』〜

〜勝海舟のしたたかさと準備の凄さを知る〜

新しきことにチャレンジする時は、未知数なところがある。しかし、事を成すには、自らの力量を過信せず、知識不足、経験不足、配慮(人間関係)不足を自覚して、その穴埋めをどうにかしないと、目的は実現しない。

そんな時のやり方について、『易経』に、その助言を見つけた。『易経一日一言』6月20日の教えです。

(以下、本より)

馬に乗りて班如(はんじょ)たり。婚媾(こんこう)を求めて往けば、吉として利(よ)ろしからざるなし。〜水雷屯(すいらいちゅん)〜

【意味】
 何とかしなければと馬に乗ったものの、自らの力不足を知って、地位が下の英傑に助けを求めるのは吉である。
 これは新しい物事の始め、まだ新たな改革を行う時は新しい知識や方法が必要であることを教えている。
(以上、本より転載)

何事も独力で行おうとする人がよく居ます。確かに自力は大事ですが、物事には達成のタイミングがあり、遅すぎると周りに先を越される。事を成す事を優先して、力量ある後輩や外部の知恵を仰ぐ勇気も必要です。

その事を『易経』は、示唆しています。

•語句の補足
「班如(はんじょ)」とは引き返すこと。「婚媾(こんこう)」は婚姻を意味するが、ここでは下位の人に助けを乞うという意味。

目的達成するのに、いつ誰に協力してもらうか。それは、事なき時から、常々、人材の発掘をしていないと、いざという時に、協力は得られない。歴史を振り返ると、

•勝海舟の準備の凄さ
 明治の元勲の一人・勝海舟は、真夜中の江戸市中を回り、そば屋や門番、あるいは夜廻り同心たち、夜の女たちとも交流を持っていたとも言われています。それは、西郷隆盛との江戸無血開城ができなかったら、江戸市民をどう逃れさせるか、常に頭に置き、平時から備えていた。

その交渉相手の西郷隆盛の訓示の一つが、

「無事は有事の如く、有事は無事の如く」

これもまた、事が起きた時への対処を説いています。

無事=平時から、最悪のことを想定して準備を怠らない。
有事=危機が起きたら、日頃の準備通りに淡々と事を為す。

先人たちの心構えに感服する。

果たして令和の我々は、難局に対する対応はどうか?朝から考えました。

今日から雨が続くようです。宮沢賢治ではないですが、"雨にも負けず"に頑張ります。


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