2007年11月27日

心ある若者は、各人が人生の課題と向き合っている

心ある若者は、各人が人生の課題と向き合っている

 ミャンマーでの若い僧侶たちの反政府アピール行動を取材した日本のジャーナリストが、政府軍から銃口を向けられ、命を落としました。憤りを感じる出来事ですが、この暴挙に対して日本の若者は、怒りをあらわにしない(できない)風潮を感じます。

 そんな折、故司馬遼太郎氏と、今年亡くなった河井隼雄氏の対談のことを記した、河井氏の著書を読みました。その一節を紹介します。


(本文より)
(司馬氏)・・・、阪神大震災にボランティアとして活躍した若者たちのことが話題に登り、最近の若者は学生運動のような華やかなことしなくなった。すまわち、イデオロギーに頼って一本筋に集団で行動するような時代は終わり、心ある若者は各人がそれぞれじっくりと人生の課題に取り組んでいる、・・・

(河井氏が)これを例えて、「高熱で燃えあがる運動でなく、低温発酵でじわじわとした変化が生じて行く」と語ると、(司馬氏)「低温発酵はよろしいね」と大変喜ばれたそうです。


 この文を検証すると、私が最近良く会う人々が語る思いと同じことを、河井氏は訴えています。ニュース報道に、少年事件や親子の関わる殺人事件等々、「良心・孝心」を疑う事件、出来事を糾弾するより、良い事をする少年たちや大人たちを、評価する記事を書いてと言う働きかけをしたいのです。
 テレビを見ると、事件のスクープ競争ばかりが目立ち、暗い将来を思い描いてしまいます。しかし実際の地域では、とても心温まる出来事、頑張る少年の活躍、父母のボランティア活動、老人会の見回りパトロール等々、地域を支え、元気にする試みが数え切れないほどあります。

「テレビは、なんでこれを紹介しないのか?」

 唯一やっているのは、地方の新聞だと思います。地方のテレビ局は、キー局の番組をスポンサーの言いなりで、放映するばかりで、重苦しい世相を更に暗くしています。
 これからは、地方テレビ局も、地方新聞並みに足を運び、汗をかき、地方の足元の元気な活動を知らせる事をしないと、生き残れないように思います。

 師の一人、木内孝氏が良く語るのですが、「感動するテレビ番組が少ない。これはスポンサーの責任が大きい。できるなら、スポンサーが「我が社やスポンサーしている番組を見てよ」と誇れる番組を、市民が見ることで応援したいですね」と説かれます。最近そんな番組が少ないように思います。

 以前の日記に、「感銘を受けた本を何度も読むほうが、多読よりも効果があること多い」と書きました。テレビも、何度も見たいような番組が、最近少ないと思いませんか?
 私は、心振るわせるテレビ番組を期待します。

 やみくもに視聴率だけを志向する番組を支援する企業の製品やサービスは、利用しないとかするとだいぶ変わると思います。お金は、企業活動の「投票券」を思って、しっかり考えて使う事に務めたいと思います。
 話が横にそれましたが、そこで新聞、テレビ、インターネット等の情報発信は、「事件」を追うばかりでなく、現在の日本の若者たちはどのようなことをしているかを示すような、記事・報告をして欲しいと思います。

(本文より、転載)
河井氏によると、

「・・・、特に日本の若者および日本在住の外国人の若者で、新しい建設的なことを考えたり、実行したりしている者の実態をコラム等で連載してはどうかと・・・」
「私が、国内外で接する日本の若者たちから考えて、一般に言われる悲観論どころか、むしろ大きな期待を若者にもっている。「近ごろの若者は・・・」とステレオタイプの嘆きをしているエライ人たちより、若者の方がよっぽど面白い(期待できる)。・・・」


と、ありました。この「(仮称)元気な若者コラム」に力を注ぐ方が、殺人ニュースの取材のために、昼夜問わず地域の迷惑を顧みずスクープを狙うより、社会改善に寄与すると思うのは私ばかりではないと思います。

 地域を元気にする番組を作るジャーナリストが育つと良いな願います。

*参考資料:河井隼雄著「縦糸横糸」より



Posted by ノグチ(noguchi) at 22:26│Comments(0)
 
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