2012年02月28日

日本の国家危機、富裕層と富裕企業のノブレス・オブリージュ

日本の国家危機、富裕層と富裕企業のノブレス・オブリージュ

 第二次大戦の敗戦処理と、経済再生に奔走した故白洲次郎氏を知る人は多いと思います。大正時代に単身イギリスのケンブリッジ大学で7年間学んだ経歴を持ち、吉田茂首相との信頼関係、公的な仕事に対する私心無き行動は、いまだに賞賛する人も多くいます。

 イギリスの中産階級の生き方に、騎士道精神が今もあり、国家に何かあれば、率先して行動に参加することは、日本の「いざ、鎌倉!」 にも共通する、献身の精神と思います。

 3月1日発売の週刊新潮のコラムに、ノブレス・オブリージュ(高貴なる者に伴う義務)について、書かれていた。フォークランド戦争に、率先して参加したチャールズの弟のアンドリュー王子が従軍したことを例に、紹介されていた。

 イギリスの騎士道を持ち出さずとも、現代の世界の苦境、日本の東日本大震災の国家危機を考えると、 エリートや富裕層・富裕企業の者たちが、それに安住しふんぞり返っていてはいけない。というのは人間として、忘れてはいけない、豊な者の社会に対する義務ではないかと思う。

 今、国会では、税と社会保証の一体改革が、論議されているが、なぜ日本の富裕層や富裕企業は、弱者や中小零細企業を痛めつける消費税上げより所得税や法人税の累進を高めるべき、となぜ叫ばないのか。

 なぜ日本の大企業は、税の大改革に、率先して意見を述べないのか。

 なぜエリートたる中央や地方の議員は「議員定数削減」を、官僚は「天下り法人削減」を、自ら決定しないのか。ノブレス・オブリージュは消えてしまったかに見えます。

 税の大改革に国民が賛同しないのは、エリートたちの率先した献身的義務の行動が足りない、無いのが最大の要因のように感じます。日本にもかつてあった「いざ、鎌倉!」 の精神を思い出す時ではないかと思っています。


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Posted by ノグチ(noguchi) at 20:42│Comments(0)故事、名言、訓示、スピーチ
 
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