2008年07月24日

得意の時こそ注意、能く人を容れる

得意の時こそ注意、能く人を容れる

 好調の時は、なんでもうまく行くように感じてきます。しかし、好調の時は色々な者、人も引き付けて行きます。
 良く、得意の時(好調時)は、慎重にの教えがいくも残っています。

 物事が巧く行っている時は、一歩退いてうまくいかない時の対応を考えておくべきである。一時であれ一つの事がらであれ、多区画昇りつめるた龍のように栄達を極めると、必ず衰退の恐れがあることを知っておく必要があります。

 また、得意の時は、不調へ向けた矛盾が見え隠れする現象が出てきます。これを気付き、示唆してくれる人が、厳しい意見を言う時は、謙虚に耳を傾けることが必要です。実際、好調の時は、耳障りな言葉は聞きたくない、耳に入り難いものです。

 しかし、耳障りな言葉は、自分の行動、事業への助言と思い、一歩引いて検証するゆとりが、惨事を回避する方法の一つと考えます。そのためには、日常から、色々な人の意見をうけ入れるように、心掛けることが重要と思います。

 江戸後期の儒学者、佐藤一斎の「言志四録」の一節から、

(本 文)~佐藤一斎「言志四録」~ 
 能(よ)く人を容(い)るる者にして、しかるの後以て人を責むべし。人も亦(また)其の責を受く。
 人を容るることを能(あた)わざる者は人を責むること能わず。人も亦其の責を受けず。

(解 釈)
 人を寛容に受け入れる度量の持ち主はであって、初めて人の欠点を責めることができる。そういう人の言葉ならば、責められる人もその責を受け入れる。
 人を受け入れる度量のない者は、他人の欠点を責める資格はない。たとえ責めたとしても、責められた人はそれを受け付けないものである。
*西郷南州(隆盛)は「男子は人を容れ、人に容れらては済まぬものとおもえよ」と訓えている。男というものは包容力がなくてはいけないということである。


 好調な時こそ、厳しい意見を受け入れることで、現況に満足せず、更なる向上心を持ち、多様な意見を受け容れる度量こそが、大事な事と先人も推しています。
 好調を維持する方法は、謙虚に現状を分析する心にあるのかもしれません。

「人を受け入れる度量のない者は、他人の欠点を責める資格はない」

今日一日、上記の言葉を心に置き、人と接してみたいと思います。

*参考資料:渡邊五郎三郎編「斉藤一斎 一日一言」より


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Posted by ノグチ(noguchi) at 05:26│Comments(0)斉藤一斎「言志四録」
 
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