2008年10月02日

(心構え)敬を以って順境を貫く(言志四録)

(心構え)敬を以って順境を貫く(言志四録)

 愛知出張は、少々日常生活に無理を生じていますが、自分が好んで行ったですから、どうにかしないといけません。
 昨日は、10月11日の夕方5時から開催する「南部九州市長サミット」の最終打合せを、人吉市長として来ました。人吉市の田中市長とは、市長になられる前からご縁があり、かれこれ5年になります。
 環境と行政、経済振興がからむ「川辺川ダム」問題に、大きな判断をされた田中氏は、地域リーダーとは何にか、また公的な仕事に関わることを問い続けて来れた方だと思います。

 私も日常読む本、江戸後期の儒家・佐藤一斎の理念をまとめた「言志四録」は、田中市長のバックボーンを支える理念であり、「佐藤一斎」帝王学(リーダーの心得)を今でも学び続けている先輩として尊敬しています。
 人吉市長と4ヶ月ぶりに、約1時間近く意見を交わし、心に響くものを感じました。催しの時の挨拶は別として、意見交換はそれぞれの志向、経験を基にして語る真剣勝負であり、これこそ交流の醍醐味で、自分を高めるチャンスと思っています。

 現代のリーダーたちを取り巻く環境は、激しく変化し、幾度となく判断を必要としています。地方は、過疎化、少子化、産業の衰退、限界集落、等々・・、地方のリーダーたち(市長、市町村長、県議会議員、・・)に対し期待しつつも、変革を求めている市民がたくさんいる事も事実です。

 さて、一人の人生においても、良いときも、悪いときもあります。そんな時の心構えを説いた言葉を、田中市長が信奉する佐藤一斎の「一日一言」に次の一節がありました。

(本文)
 人の一生には、順境有り、逆境あり。消長の数、怪むべき者無し。余又自ら検するに、順中の逆有り、逆中の順有り。宜しく其の逆に処して敢えて易心を生ぜず、其の順に居りに居りて敢て惰心を作さざるべし。惟だ一の敬の字、以て逆順を貫けば可なり。
        (言志晩録147)

(現代語訳)
 人の一生には、順境もあれば逆境もある。これは栄枯盛衰の理法というものであって、少しもおかしなことではない。また私が自ら調べてみたところによると、順境のさなかにも逆境があり、逆境のさなかにも順境がある。
 だから、逆境にあるからといってやけくそになったり、順境にいるからといって怠け心を起こしてはいけない。ただ敬の一字を心に置いて、順境も逆境も終始一貫すればいいのである。

 要は、調子悪いときこそ、気持ちを前向きにして、目標を確認しつつ日々の仕事に打ち込むことしかないのかなと思います。
 「敬」と、それに「恥」を忘れずに、今日も一日過ごしたいと思います。今日も人吉行きですが、後10日、本番のシンポジウムまで、私のできうることをやってみたいと思っています。もし興味ある方は、南九州の古都、相良藩700年の歴史を持つまち(地域)へ、お出で頂ければ幸いです。

*参考資料:渡邊五郎三郎編「佐藤一斎 一日一言」より


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Posted by ノグチ(noguchi) at 05:30│Comments(0)斉藤一斎「言志四録」
 
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