2009年03月12日

(子供の教育)先生を選べ、友を選べ、土地を選べ、そして我慢

(子供の教育)先生を選べ、友を選べ、土地を選べ、そして我慢

 子育ては、親の一人ひとりが違った悩みを持っていると思います。わが家は、二人に子供ですが、まったく違う性格と興味、子供と一緒に悩みながら暮らして来て、今は良き思い出しか思いうかばないのは不思議な気がします。
 何時の時代も子育ては、親も始めてのこと、子供と一緒に成長するのだと思います。昔の智恵を知ることも、ヒントになるかと思います。江戸後期の儒家・佐藤一斎の語録を集めた「言志四録」に、子供の教育のことが書かれていた。

「子を教うるには、愛に溺れて以て縦を致す勿れ。善を責めて以て温を賊(そこな)う勿れ」

(意味)
 子供を教育するには、溺愛してわがままにさせてはいけない。善行を強いて親子の感情を損なってはいけない。

「忘るること勿れ、助けて長ぜしむること勿れ。子を教うるも亦この意を存すべし。厳にして慈。是れも亦子を持つに用いて可なり」

(意味)
 子供も教えるには、「いつもそれを心に留めて、忘れてはいけない。早く育て上げようと焦って、助長してもいけない」のような心を持つべき。厳格でありがなら慈愛の情を持つというのは、これも子供を扱ううえでよいことである。

「子を易(かえ)て教うるは、固(もと)より然(しか)り。余謂(よおも)えらく、三つの択(えら)ぶべき有り。師択ぶべし、友択ぶべし、地択ぶべし」

(意味)
 昔の人は子供を取り替えて教えたというが、誠に結構なことである。自分が思うに、三つの選(択)ぶべきものがある。それは、「先生を選べ、友を選べ、土地を選べ」と言う事である。
(以上、「言志四録」より)

 ちょっと説明が長くなりました。わが家の子供も、20才、17才になりますが、振り返るに、上記に三節の教え、そして最後の三つの選択をやって来ただろうと思い返します。 昨日の「縁尋機妙」ではないですが、親の欲目では見つけられない子供の能力を、見識ある師、切磋琢磨する友人、そして志ある人たちが集う場を、親がいかに提供できるかにあるのかもしれません。

<佐藤一斎の「子供の教育訓」>
一、溺愛しない、善行を強いない
ニ、心に留めて、忘れない。焦って、助長しない。
三、先生を選べ、友を選べ、土地を選べ

 これは、自分育てにもつながる教示と思います。孟子の教えに「浩然の気」という心を育てる教えがありますが、「心に留めて、忘れない。焦って、助長しない」が肝心とあります。急がず、その子供(自分)にあわせた学びを継続する事が大事なのかもしれません。

*参考資料:渡邊五郎三郎編著「斉藤一斎一日一言」(言志四録)


<以前のブログ>
・一直線に走る人は失敗する ~美成るは、久しきに在り~(荘子)
 http://utorongo.otemo-yan.net/e167474.html
・縁尋機妙 多逢聖因 ~今日を大事に生きる~
http://utorongo.otemo-yan.net/e167239.html


同じカテゴリー(斉藤一斎「言志四録」)の記事画像
人生は長くても100年、歴史は無限大、学ぶことは山ほどある。〜歴史書の読み方〜
<知行合一>書を読んで身に行わない者は、ちょうど鋤を買って耕さないのと同じである。〜二宮尊徳〜
同じカテゴリー(斉藤一斎「言志四録」)の記事
 自分の本願は何か?、一生の目標は? 〜佐藤一斎一日一言〜 (2024-09-11 13:37)
 胸臆虚明(きょうおくきょめい)なれば、神光四発す。〜言志四録161〜 (2023-03-08 06:47)
 <忙中閑有>多忙だからこそ休暇を取る。急ぐ時こそ、始まる前に間を持つ。 (2022-07-21 07:43)
 <一日、一日を大切に>人生は短い、何をしたかもありますが、日々どう生きているかが大事。〜佐藤一斎語録〜 (2022-07-20 07:15)
 今の現実を直視し、その解決策(対応、実行)を考える。〜勝海舟語録〜 (2022-01-11 06:09)
 人生は長くても100年、歴史は無限大、学ぶことは山ほどある。〜歴史書の読み方〜 (2019-04-20 08:09)

Posted by ノグチ(noguchi) at 21:56│Comments(1)斉藤一斎「言志四録」
この記事へのコメント
孟母三遷を思い出しますね。教育には環境は大事と思います。しかし、素晴らしい人は、どこでも、育ちうるとも考えています。
 私の場合は東京都砧国民学校、熊本県本渡南国民学校、福岡市西新国民学校、佐賀県ある国民学校、福岡市西新国民学校、熊本市健軍小学校、砂取小学校、出水中学校、白川中学校、熊本高等学校でした。戦争のために右往左往したようです。
 Ichiro
Posted by Ichiro at 2009年03月13日 06:17
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。