2010年04月12日

志を持続するのは難(かた)し、徹上徹下の工夫

志を持続するのは難(かた)し、徹上徹下の工夫

 人は、周りの状況で、自分の目指す方向を、修正せざるおえないことが多々起こる。苦渋の決断とか、やむおえない判断とか、ときどきテレビ新聞で記事を見る。志を貫徹する事の難しさを感じる。
 志を達するには、周りに人の支援や協力が必要となりますが、周りに理解を得れないと、自分の志が間違いか? と迷ってしまいます。昔の人もやはり、悩んだと思います。江戸後期の儒家で、徳川藩の藩校の校長佐藤一斎の訓示を集めた「言志四録」に次の言葉があります。


・志を持続するのは難(かた)し

(現代語訳)
 志を持ち続けるの工夫は大変に難しい。私は往々にして、事が自分の意に反するような目に遭うと、荒々しい怒りの感情が湧き起こって抑えられない。これは志を持続できない病というものである。自ら恥じ、恐れ入るしかない。ここにそのことを書いて自らの戒めとする。
 (以上、「佐藤一斎一日一言」)

 人は感情の動物ですが、理性も持ち合わせています。感情に心を沸騰させては、正しい判断ができないことも多い、自戒を込めた佐藤一斎の言葉は、「自分を慎め」の言葉と思います。また、次の言葉も残しています。


・徹上徹下の工夫

(現代語訳)
 自分の欲望を抑えがたいには、しっかりと志が立っていないのが原因である。志が立っていれば、これはまさに火が燃えている中に一掴みの雪を置くようなもので、欲望などというものはたちまち消え去ってしまう。したがって、立志というものは上から下まであらゆる事柄に通じる工夫なのである。

(解説)
 教育者・哲学者の森信三氏は、天王寺師範学校での講義の始めに「私の、これから一年間にわたる修身の講義は、ある意味ではこの『立志』の一言に尽きると申してもよいほどです」と教えている。
 (以上、「佐藤一斎一日一言」)


 志を立て、賢明に努力をして、周りの人々に理解をしてもらい、やっと実現へ方向付けできるには、長い年月がかかるように思います。志を持ち、努力を持続する事こそ、自分を高める一番の方法なのかもしれません。
 常に高い目標を持ち、前向きに事を考え、行動する事が必要と思います。そうすることで、周りの理解を得て、支援の輪が広がって行くのだと思います。

*参考資料:渡辺五郎三郎編「佐藤一斎一日一言」


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Posted by ノグチ(noguchi) at 20:26│Comments(0)斉藤一斎「言志四録」
 
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