2014年04月16日

「名を成すは常に窮苦の日にあり、事を破るは多く志を得た日に因る」〜『酔古堂剣掃』〜

「名を成すは常に窮苦の日にあり、事を破るは多く志を得た日に因る」〜『酔古堂剣掃』〜

午前は建築の打ち合わせでアッと言う間に終わり、午後は地域づくりの企画作りで夕方がすぐ来た。時の過ぎるのは早いものです。人間、よかったり悪かったりです。実は、昨日は予定をはるかに超える日程消化で良かったと思いきや、古い家の当主としてポカをやっていました。人間、至らないことばかりと思い、反省しきりです。

さて、江戸後期最大の儒家の佐藤一斎の訓示録『言志四録』の365訓が書かれた『佐藤一斎、一日一言』の7月17日の訓示に目が止まった。

タイトルは「敬を以って順境を貫く」でした。江戸言葉は、難しいので現代語訳を紹介します。

(以下、本より転載)


人の人生には、順境もあれば逆境もある。これは栄枯盛衰の理法というものであって、少しもおかしなことでもない。また私が自ら調べてみたところによると、順境のさなかにも逆境があり、逆境のさなかにも順境がある。だから、逆境にあるからといってやけくそになったり、順境にいるからといって怠け心を起こしてはいけない。ただ敬の一字を心に置いて、順境も逆境も終始一貫すればいいのである。
(以上、『佐藤一斎、一日一言』)


人には、苦しい時代が長い。勝海舟は、長い下積みがあった。だから、登り始めたら急上昇したのか?

坂本龍馬は、少年時代は仲間に相手にされず、姉に指導をされた。江戸の千葉道場では、目を見張る成長で他を圧倒しながら、人を惹きつけるものまで備わっていた。

人は苦しみの中で、背水の陣の状況に追い込まれた時に真価が問われる。その厳しさが長いと、普通はめげたり、やげやりになるものです。その状況で、周りへ責任をそらさず、自らに責任を負い、こつこつと自分を高めることを忘れない。

人間、24時間がみな同じです。人のご縁の中で、生きていることを忘れずに、声がかかったら断らない。忙しい時でも、丁寧に対応する。生活が厳しい時でも、敬意を表すことに努める。

冒頭の『酔古堂剣掃』の訓示の原文は、「名を成すは毎(つね)に窮苦に日に在り、事を破るは多く志を得るの日に因る」です。また孟子の訓示にも、「孟子曰く、人の徳慧術知(とくけいじゅっち)ある者は、恒(つね)に疢疾(ちんしつ)に存す 」がある。

意味は、「孟子がいわれた。およそ徳行・技術・才智に秀れた人は、おおむね非常な災患の中にあって〔発奮して努力するので〕、その才能が磨かれたからである」。有史以来、人物(人格者)は、安楽な状況からは登場しない。ライオンは、我が子を谷底へ突き落とす。苦労を買ってまでする必要はないが、苦境にある人は「今、天が自分を成長させている」と思い生きれば、道は拓けると思いたい。だから謙虚に生きることが大事と思います。


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Posted by ノグチ(noguchi) at 00:09│Comments(0)斉藤一斎「言志四録」
 
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