2009年03月28日

(学問は危機のため)無事は有事の如く、有事は無事の如く

(学問は危機のため)無事は有事の如く、有事は無事の如く

~真の力は内に発し、内に練られ、内に磨かれ、内に養われ、内に貯えられ、内より溢れて外に流れる~

 時々開く『自警禄』(新渡戸稲造氏)に次ぎの言葉がありました。


(本文)
 しかめつらしく具足をつけ威張るものは、古来猪武士と呼ばれている。
 これに反し、外見はおだやかにして円満に、人と争うこともなきも、しかも一旦事あるときは犯すべからざる力を備えた人を真の武士といっている。(以上、「自警録」より)


 これは、「武士道」を紹介した新渡戸稲造氏の著書『自警禄』の言葉です。これは、「強き人」がテーマの文章ですが、締めくくりは次のような言葉でまとめられていました。


(本文、抜粋)
 スパルタ教育をことごとく悪いとはいわぬ。ただあれだけではいかぬというのである。(中略)
 ある青年の道徳品行を観察する人はかつてわが輩に向い、
「・・、いわゆるスパルタ式教育法を受け、猛獣的に強くなっているからである。しかして最も早くかつ烈しく堕落するのは彼らの仲間である。なんとなれば彼らは強さをそとに求むればなり」
 真に克つ者は己に克つを始めとなすべく、しかして後に人に克つべし。(中略)

 真の力は内に発し、内に練られ、内に磨かれ、内に養われ、内に貯えられ、内より溢れて外に流れるから、十分余裕がある。ゆえに内、己れに克つものは外、世界に克つことが出来る。(中略)
 古人の書に、「自責の外に、人に勝つの術なく、自強の外に人に上たるの術なし」と。       (以上、「自警録」より)


 私は、幕末の歴史が好きで、色々な志士たちの生き様に興味があり、西郷隆盛の言葉を記した「西郷南州翁遺訓」の文庫のタイトルの、「無事は有事の如く、有事は無事の如く」
が心に残っています。
 これは、禁門の変(蛤御門の変)の指揮を取る長州の志士、久坂玄瑞が語った言葉とありました。西郷隆盛は、久坂玄瑞を評して「お地蔵さんのようだ」と、敵としながらの敬意を持っていたと言われます。
 また西郷隆盛は、講義を受ける庄内藩の若い人に「学問は、危機のためにある」と教示したとありました。

 これからの人材に必要な3つの言葉は、「先見性」、「魅力・磁力」、「(逃げない)責任」と師の一人が語っていました。
 その中でも、危機(有事)が起きた時に、逃げず・あたふたせず、長期の視野を持ち、目の前の問題処理に、至急に対応する器量が求められます。
 これは、闇雲に勉強だけでは養われるものではなく、日常から様々な経験を積み、内側から自分を鍛えることが必要とも学びました。

>真の力は内に発し、内に練られ、内に磨かれ、内に養われ、内に貯えられ、内より溢れて外に流れる

 日々の学問に取り組む志向を、外見ばかりに気を取られず、内なる力を養うには、人と切磋琢磨しながら会得する機会、場を求めて行くことが必要なのかもしれません。

*参考資料:新渡戸稲造著「自警録」
    「西郷南州翁遺訓」~無事は有事の如く、有事は無事の如く~


同じカテゴリー(リーダーの名言)の記事画像
<己に克つための極意>「意なし、必なし、固なし、我なし」〜敬天愛人〜
同じカテゴリー(リーダーの名言)の記事
 「人間から生きがいを奪うほど残酷なことはない。人間に生きがいを与えるほど大きな愛はない」〜神谷美恵子〜 (2024-10-18 23:01)
 「人は誰もが、大河の一滴である」〜五木寛之著『死の教科書ー心が晴れる48のヒントー』〜 (2024-10-16 10:02)
 本来"リベラリズム"で大事なのが人間の心なのです。〜宇沢弘文著『人間の経済学』〜 (2024-09-30 19:50)
 <人の時のアセス>愚直に生きた夏目漱石、その思考は『老子』を参考にしていた。〜半藤一利〜 (2024-09-25 06:26)
 「イマダモッケイ(木鶏)ニオヨバズ」〜双葉山(昭和の大横綱)〜 (2024-08-07 05:49)
 >足跡の連なりが人生となる。「人生は、手ぶらで生きて、手ぶらで死ぬのがいい」〜升野俊明語録〜 (2024-04-04 05:35)

Posted by ノグチ(noguchi) at 21:45│Comments(1)リーダーの名言
この記事へのコメント
有事とは戦争、革命と思われる。

 わが家に先祖は黒田藩の下級武士。家来をつれ会津の戦争にいった。無事凱旋したが、廃藩置県。土地はもらたが、おっぽり出された。
私塾の先生に「私は何になったらいいのでしょうか」と質問したら、無住の神社がある。神主になれ。やり方は俺が教える、と言ったという。子供は教官になり、その子供は銀行員、技術者などになった。
 技術者の父は戦争にとられるのを恐れ逃げ回っていた。戦後、会社を設立したが悪い会社員にいろいろ持ち逃げされ会社はつぶれた。
 
 次に戦争になるのか、ちと考えよう。
 Ichiro
Posted by Ichiro at 2009年03月28日 22:19
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。