2009年10月31日

人の心情で「驕り」が最大の病

人の心情で「驕り」が最大の病(小林一三)

 調子が良すぎる時、ふと、これで良いのか?

 これは、誰かが仕組んだものか?

 ピークはいつか?・・・・・

 人間は、調子が良すぎると、驕る者と、恐れる者が出てくる。

 どちらが良いということではないが、人は「謙虚」の言葉を忘れてはいけないという教示を、戦前の経済界の重鎮が体験を通じて語っています。
 

(本文)

 阪急コンツェルンをつくって「今太閤」の名をほしいままにした小林一三が山陰地方を旅している最中、偶然、古い友達にあい、懐かしさにひかれて、その宿をたずねた。

 その古い友人というのは、大阪で巨万の富をつくり、事業もますます発展していたのので、小林は内心、「二号でもつれて遊びにきたのだろう」と思った。

 ところが、宿の女中の案内で通された部屋は、みすぼらしい六畳一間で、そこに友だちにと奥さんがぽつねんと座っていた。

 きけば「すでに二週間以上も、ここに滞在している」という。

 怪訝(けげん)に思った小林が「どうして、あなたほどの分限者が、こんな汚い部屋にいるのか」と聞くと、意外な答えが返ってきた。

「自分たちは、どう考えてみても、あまりにも恵まれすぎている。とにかく、無我夢中で働いているうちに運勢に恵まれて、このように何一つ不自由ない身分になったが、考えてみると、何だか恐ろしいみたいで、ひとつ厄払いをしようという気になり、毎年、ここへきて一か月間、この汚い部屋で厄を払っているのだ」

 小林は友人のこの一面突飛とも思える行動に頭をさげた。

 (以上、伊藤肇著「人間学」より) 

 人の心情で「驕り」が最大の病だそうだ。

 天狗になったら長く続かない。

花は百日。人は千日。

 驕れるものも久からず・・・・

 歴史に中で、多くの訓示があるが、人の世はいくどとなく、人の絶頂と没落の歴史を刻んできた。小林一三自身、戦中戦後の混乱の中で、苦渋を何度も味わいながら、阪急の存続を維持して来たから、上記のエピソードは、真剣みを帯びた訓示として聞き取れる。

 宇宙はバランスで保たれてる。溜まりすぎると、分捕りにくる潮流があると言う。

ヨーロッパには、「ノーブレス・オブリージ」という考え方がある。
高貴なるものは、一般庶民よりも社会にたいして責任がある。

 持つものは、持たざるものを助ける。

何事もバランス感覚を忘れてはいけないことが大事なように思います。

*参考資料:伊藤肇著「人間学」(人生の原則 行動の原則)

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<映画>
いのちの山河~日本の青空Ⅱ~
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<1962(昭和37)年計画策定 一部抜粋> 
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Posted by ノグチ(noguchi) at 23:25│Comments(0)リーダーの名言
 
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