2008年02月10日

人と共に善をおこなう(その1)「開運のすすめ」

開運のすすめ 『陰隲録』に学ぶ(永渕道彦著)

第一章 開運に通じる善行十綱目


人と共に善をおこなう(その1)


(現代語訳)

人と共に善をおこなうことはどのようなことをいうのであろうか。

 むかし、舜が黄河のほとり住んでいたとき、その漁民たちはみな魚の集まる深い淵や豊かな沢を占領してしまい、しかも老人や子供たちは流れの早い危険なところや浅瀬の漁の少ない中で魚を取らねばならなかった。

それを見て、瞬はあわれみと同情の気持ちを起こし、気の毒に思い、自分からその場所へ出かけていって皆と共に魚を取った。

もし争うものがあるのを見ると、みなその過ちを匿(かく)してやって人に語らず、もし譲るようなことをする者があるとのを見ると、さっそく誉めて手本とした。このようにして一年を過ぎたころにはみな漁のしやすい、取りやすい場所をゆずり合うようになった。

舜が耕作をしたときも、陶器を作ったときも同様に住民たちを不言のうちに教化した。

一体、舜のような深い智慧をもってして、どうして、言葉を出して民衆を教化することができないであろうか。必ずできるはずである。

それなのに言葉を出して民衆を教化せずに、我が身をもって教え、不言のうちに教導し悪より善に転じさせたのである。これこそ良工の苦心というものである。


(解説)

多くの人々と共に善を行う場合、恩をきせるとか、押し付けがましい態度とかでなく、我が身の態度で周囲を感化することこそ最上の方法であろう。

確かに、言葉による表現は力があるが、いかに深い知恵がこめられている言葉であれ、言葉による表現には、押し付けがましさが付きまとうものである。

われわれは、古代中国の天使であり聖人である舜の事例を味読しかみしめたいものです。

 聖人・舜の事例のごときはボランティア活動における多くのリーダーたちに見受けられる。率先して汗をかき、リーダーらしからぬリーダーでありながら、リーダーとして信頼され、活動の中心にいる人たちである。」

 ボランティア活動が単発で終わることがある。この祈りなどのリーダーの多くは、まさに言葉多く、ボス的態度で押しつけがましい。まさに、ボランティアなので、次回の活動は消滅することになりかねない。このようなリーダーが信頼され支持されることはないからである。



*『陰隲録(しんしつろく)』(袁了凡著)

江戸期や明治時代に、多くの人々に愛読されながら、今日まで忘れ去られた本がある。袁了凡著『陰隲録(しんしつろく)』はその一つである。

本書『開運の進め―陰隲録に学ぶ』は「立命の学」の部分を割愛した妙本であり、原文に現代語訳を付し、その上で筆者の読釈の言を弄したものである。

書名を「開運のすすめ」としているように、本書はこの視点でもって編集しなおしたものである。今日の人々にも再び、身近なものとして理解され、愛読され、生活の指針となることを念じてである。


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