2013年05月10日

本物は誇示せずとも自ずと伝わる。人をゆっくり育てる社会。

本物は誇示せずとも自ずと伝わる。人をゆっくり育てる社会。


おはようございます。昨日は、遅くまで飲み会で、朝は小雨もふり早朝ウォーキングは休みました。金曜日は、歴史の中の人物の再評価をする番組を、朝からよく見ます。

当世を第三の開国と言う評論家がいるが、果たしてそうだろうか。

今朝のNHK-BSでの人物の歴史検証に「平賀源内」がとりあげられていた。文化人、発明家、商品プランナー、等々、話題多い多才な人物であることは間違いない。

その基となっていたのが、オランダ人がもたらす世界の品々、情報でした。それも江戸で、仕入れることが可能だった。源内は、アンテナを四方八方に張り、仲間を集めていた。好奇心、聞く耳を持っていたから、新しい発想が生まれた。

その約1世紀後に、江戸に生まれた水戸学の重鎮が藤田東湖です。幕末前夜、オランダではなく、北の脅威ロシア船の出没に、徳川幕府は対応に追われた。庶民の噂話は、被害妄想に膨れるばかり、幕府の理念は徳川家光の発言「土地や人民を異国に奪われるのは日本の恥辱。土地一寸、人間一人たりとて死守すべし」とある。オランダとの交易は認めるが、他国とは一戦も交える構え。なんか矛盾している理論に思えます。

藤田東湖は、このかたくなな幕府の姿勢に苦言しています。

「舜(中国の伝説の名君)でさえ己に頼むことなく、必ず良臣の力を借り、孔明(三国志の名軍師)でさえ独断はせず、多くの議論を聞いた。しかし、凡人ほど賢人に任せることなく、取るに足らぬ自分の智力で国を治めようとするが、成功しない」

この藤田東湖の警告は、現代社会にも伝えたい訓示と思います。自民党の安倍首相は、衆議院の大勝の勢いをかりて、独自色を打ち出し続けている。参院選の大勝もまるで約束されたような雰囲気にも思えます。もっと足元の声に耳を傾けるべきではないか。もし藤田東湖が現代に生きていたら、そう警告するかも知れません。

日本は、和を持って尊しの国づくりをして来た。現代、衆愚政治と揶揄される中で、アベノミクスに経済が動き始めたが、その真価は50年後、100年後の人たちにしかわからない。昨日も何人かの活動家と語る中に、「本物は誇示せずとも自ずと伝わる」との意見だった。

藤田東湖は、江戸を襲った「安政の大地震」で、家屋にいた母の命を救い、自分は圧死した。東湖は、幕末の志士のさきがけ、憂国の人、そして孝行の人だった。

水戸学は、水戸光圀が始めた日本史の編纂の基となった学者の系譜を表しています。現代日本にも、政治のあり方を真摯に説く賢人がいます。舜ではないですが、トップは、国であれ、地方自治体であれ、無私の賢人たちの議論に耳を傾け続ける姿勢が必要と思います。

藤田東湖の志は、吉田松陰を生み出し、松下村塾から多くの有能な志士を排出した。現代の藤田東湖や松下村塾のような存在を示す人物、学校がほしいものです。

江戸時代、維新つながる人物の育成が続けられた。平成の現代にも、江戸時代のような人を育てる社会を市民が望む文化が必要な気がしています。

参考資料:関厚生著『一日一名言』歴史との対話365


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Posted by ノグチ(noguchi) at 09:30│Comments(0)リーダーの名言
 
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