2008年06月30日

(開運のすすめ)夏建所の例~開運は謙虚にあり~

(開運のすすめ)夏建所の例~開運は謙虚にあり~

 毎週月曜日の永淵道彦先生の「開運のすすめ」の一節を紹介しています。

(現代語訳)
 壬辰(みずのえたつ)の歳(万歴20年)に私が天子のもとに参内した折、夏建所に出会ったが、そのとき夏建所は、非常に気持ちが謙虚な様子で、何か人の迫るものがあった。私は関心してしまい、帰宅してから友人にそのことを話し、

「およそ、天がこの人を出世させようとするときには、まだその実現しない前に、まずその人の心の智慧をひらくものである。この智慧の心が一度ひらけば、心のうわついているのも著実になり、思うままの振舞をしていたものも、心をひきしめで実直になるものである。ましてや建所は、あおのように温厚であるから、きっと天は建所の運を開くにちがいない」といったが、試験の発表は、はたして及第であった。


(読 訳)
 万歴20年(日本の文禄元年、豊臣秀吉の「朝鮮の役」の年)に、袁了凡が天子のもとに参内した折りの話である。一心に努力しその努力のかいがあり、福が招かれる前には、その人には必ず、まず心の智慧が発するものであるという。心の智慧とは人間の徳から発する良心の輝きというべきものである。夏建所がそうであったという。

 単に頭が良いとか、悪いとか、というのでなく、この智慧が発すると、心のふわふわした肝がすわっていない人間も充実し、わがままな人間もそれがおさまってくるという。ましてや、夏建所のように温厚な者がそのようであるのだから、なおさらである、というのである。 


(感 想)
 「福が招かれる前には、その人には必ず、まず心の智慧が発するものである」と、それは、徳から発する良心の輝きであるは、示唆の富んだ言葉と思います。

 江戸後期の儒学者、佐藤一斎の「言志四録」の一節に、次の言葉があります。

「己を修めるに敬を以てして、以て人を安んじ、以て百姓を安んず。壱(いつ)に是れ天心の流注なり。」

(意味は)自分を修めるのに敬の心ももってすれば、人々を安からにすることができるし、さらには天下の人民を安からにさせることができる。まさに敬は天の心が流れ注いだものである。(中略)

 優しい人が、学問を深め、さらに運を開く智慧を得た時、その輝きはさらに増すことと思います。ただやみくもに、知識を暗記するだけでなく、心を育てる゛学び ゛を実践したいものです。
 開運は謙虚にあり、先人の知恵の言葉と思います。

*参考資料:開運のすすめ~『陰隲録』に学ぶ~(永渕道彦訳)
渡邊五郎三郎編「斉藤一斎 一日一言」~言志四録を読む~


<コミュ>
・開運のすすめ~『陰隲録』に学ぶ~(永渕道彦訳)
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