2009年11月24日

一人、目立ちすぎない

一人、目立ちすぎない

 ホリエモン、リクルートの江副氏、等々、時の寵児と言われる人が居ます。長続帰しませんでした。これは、組織の中で起こります。守屋洋訳編「韓非子を見よ!」に次の一節がありました。


・鄭(てい)の名宰相の子産(しさん)の若いころの話

(本文より)
 朝廷に仕え始めころ、懸命の働き、君主から評価も高かった。それを危惧したのは、父の子国(しこく)で、子産に厳しく言動に注意するように言った。
「大勢の臣下の中で、そなた独りだけが陰日向なく仕えている。殿が賢明なお方ならそなたの意見に耳を傾けるだろう。だが、そうでなかったら耳など貸すまい。聞いてもらえるかどうか、そんなことなど今のところわかりはしない。ところがそなたはすでに他の臣下から浮き上がった存在になっている」
 この後に、ここに揚げた言葉が続いている。
「他の臣下から浮き上がってしまえば、必ずそなたは身を破滅させることになる。いや、そなた自身を破滅させるだけでなく、この父の身にも累が及んでこよう」
 子国は、息子のために余計な心配をしたのであろうか、そうではあるまい。
(中略)


(解説)
 臣下としてトップのおぼえがめでたいのは、一応、結構なことのように思われる。だが、それには危険もたっぷりと隠されている。

第一に、 同僚や周囲の人間のねたみ、そねみを買っている可能性がある。それがいつ、どんな形で表に出てくるか知れたものではない。

第二に、トップは気まぐれである。目をかけてもらっていても、それがいつまでも続く事は保証はない。

第三に、トップの地位といえども安泰ではない。仮に失脚した場合、目をかけてもらっていた人間も運命を共にすることにもなりかねない。


(感想)
 飛ぶ鳥を落とす勢いで、先頭を走るリーダーに付き、急速に地名度を上げる人がいます。あっちのリーダー、こっちのリーダー、日和見の臣下もいたります。

 確かに自分自身の信念を持ち、主義主張を強くすると反発も多い。特に若くして、トップの寵愛を受けた時は、周りの反発やねたみも起こるものです。

 子国は、その予兆を感じ、子産に注意を促したのだと思います。自分の立場、周りとのバランス、周りを引き立てながら、自分を引き上げるような工夫も必要との教えと思います。

 ちなみに、子産は、以後、同僚や周囲との関係に細心を払いながら、名宰相の地位を固めていったとありました。

 交流は、バランス感覚が大事なように思います。ご注意を!

*参考資料:守屋洋訳編「韓非子を見よ!」


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Posted by ノグチ(noguchi) at 19:02│Comments(0)故事、名言、スピーチ、等
 
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