2009年12月06日

(常識とは)ドストエフスキーの覚醒は、抑留の経験が発端。

(常識とは)ドストエフスキーの覚醒は、抑留の経験が発端。

 久々に、五木寛之氏の「他力(TARIKI)」から、一文を紹介します。

(本文より)
・・・、低俗という言葉があり、高級という言葉があって、高いのは立派だけど、低いのはいけないという考え方がある。それから、乾いたユーモアというのはほめた言い方で、濡れた叙情というのはあまりほめられない。近代主義は、情緒的だったり感情的であることを厳しく拒否してきました。しかし、乾いた心が地下鉄サリン事件を生んだのではないでしょうか。(中略)

 この本の中で、19世紀のロシア知識人の巨人ドストエフスキーは、シベリア抑留の経験で、国家権力に連なる官僚たちより、僻地のすむスラブ的な、慈悲の心に触れ、彼は魂を浄化された。
 首都に住む知識人と言われるブルジョアの名士より、大衆から学んだものが多いと、語っています。

 また、五木寛之氏は、「大衆の底辺に、大衆の原像というか、芒洋(ぼうよう)とした海のような広がりがあることを、知識人は謙虚に気がつなかといけない」と言っています。 自分の地位、名誉にうぬぼれて、自分の立ち位置が何処にあるか。常識という時代のゲージ(指針)が、変化していることを忘れていると思います。

 常識は、常に変化しています。 

 自民党の政策の新しさを出せない「発想力」の不足は、地位に甘んじた結果と思います。世に中から、「知識人」の評価を得た瞬間から、人間としての価値が下がって行くのかも知れません。人は、常に驕りを持つクセ(癖)があることを忘れてはいけないと思います。

*参考資料:五木寛之氏の「他力(TARIKI)」


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Posted by ノグチ(noguchi) at 22:52│Comments(0)偉人
 
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