2012年07月19日

精神肉体を投打つ気迫がなければ、国の先を見越せる(高杉晋作

自分の精神肉体を投げ打つ気迫がなければ、国の先を見越して考え、策をめぐらすことはできない(高杉晋作)

「人間万事窮す(休す)」、絶対絶命のピンチ。

 高杉晋作は、大胆で繊細だった。文久2年に起きた品川の英国大使館焼き討ち事件は、高杉晋作の発案で、井上馨や久坂玄瑞らが参加。事件は、夜半に柵を越え敷地内へ飛び込むんだが、高杉晋作は柵を1本だけ切り落とし、人間1人がくぐれるほどの穴を作った。館内に火を放ち大騒ぎになる中を戻って来る仲間たちをその穴から逃がしたそうだ。
 田中光顕の『維新夜話』によれは、この後高杉は、「どんな難局にも必ず逃れる道がある。断じて困らぬという気持ちでやっていけば必ず道が付くから、゛困った゛という言葉だけは口にしてはいけない」といったそうだ。

人間万事休す(窮す)とあるが、最後の最後まで諦めない気持ちこそが、最後の道を言い出す手段のように思います。

吉田松陰は、「至誠天に通じる」と一点の曇り無い心で、行動していた。一番薫陶を受けた高杉が影響を受けないはずがない。高杉は、いざという時は、国のため忠義のために、わが身を投げ打つ気魄(ハク)があるということである。

高杉に心情は、
「直言実行で、傍若無人で、自分の精神肉体を投げ打つ気迫がなければ、どうして国のために先を見越して考え、策をめぐらせるという忠義を尽くすことができるのだ。
 僕の志を簡単な言葉で説明すれば、何としても国を危くせぬよう、君公のお心を苦しませぬことのないようにと、日夜、苦心しているために、自分があらぬ嫌疑をかけられ、讒謗を受けることまで考えるゆとりがないのだ」
と、『獄中手記』の冒頭にあるそうです。この様な志を持ち、日本国家を考え続ける志士がどれだけ居るかが、日本の行く末を明るくする手段(策)かもしれない。

いざ鎌倉!

お上に何か事があれば、ボロ馬具、戦用具を準備、全てを止めて都へ馳せ参じる。今朝、国会論戦を聞きながら、20日の大学院での講義準備をしていて、傍らにあった文庫本を開き、高杉晋作の志に触れ、今日はこれを紹介しようと思いました。

高杉晋作とは、時代も年齢も違いますが、太平洋戦争の戦後処理に関わった、イギリス仕込みの英語で、GHQと渡り合った白州二郎とが重なって見えてくる。白州は、「葬式無用」「戒名無用」と、役目と引き際をわきまえた偉人だった思う。

凡人には、行き着けない世界ですが、自分のできることをできる範囲で、志を果せえるように努めたいものです。

*参考資料:笠谷和比古著『武士道 サムライ精神の言葉』


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Posted by ノグチ(noguchi) at 18:02│Comments(0)偉人
 
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