2012年08月30日

僕の前に道はない。僕の後ろに道はできる。-高村光太郎-

僕の前に道はない。僕の後ろに道はできる。-高村光太郎-

 人間を中心にすえた造形を志した高村光太郎の後継者たちは、細かった道を踏みしめ、だんだん太い幅にして行った。後継者の一人、東京造形大学教授の佐藤忠良は、後進の育成に熱心だった。

 初めから道はなかった。
 人が歩いた跡に道らしきものができる。
 多くの人が踏み固めていくと、それが道になる。

 論語に、「徳は孤ならず必ず隣あり」があります。意味は、徳のある者は孤立することがなく、理解し助力する人が必ず現れる。高村氏の語った意味とは違いますが、「徳は孤ならず」は、リーダーに影響(好感)を受けた後輩たちが集まり、事を成し遂げる。
 突出した先駆者が出て、道無きところに分け入り、その跡を辿る同じ志を持つ若者が、分け入った細道を、大通りにして行く。慣習という既成概念が身骨に染み付いた人は、なかなか既得権益から逃れられないが、未来の胎動に気づいた先駆者が、行動を起し、仲間を募り、継続して行けば、新たな分野を創り出すことができる。
 
 先週25日、人吉市で前熊本県知事の潮谷義子さんの講演を聞き出かけた。講演後の意見交換の中で、推進で30年以上進められて来た川辺川ダム計画に、疑問を呈した市民グループが地元以外から反対運動を支援し始めていた。。
 そこで、潮谷前知事は「住民討論集会」なる議論の場を設けた。何回目の集会の終わりに、意見を言って諦め顔で立ち去ろうとする反対派のグループに向って、潮谷さんは「退場していいですか、もう意見はないのですか」と投げかけたそうです。その声に反応して、再度、討論が沸騰して行った、と思い出を語っていました。

 先駆者とは、自分の周りに起る小さな変化(前兆)に気付くか、気づかないかの差ではないかと最近思います。

>僕の前に道はない。僕の後ろに道はできる。

少年よ大使を抱け!
クラーク博士の訓示ではないですが、今こそ日本に必要なのは、チャレンジではないかと思います。

参考資料:久恒啓一著『人生の道を拓く言葉130』


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Posted by ノグチ(noguchi) at 09:31│Comments(0)偉人
 
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