2008年07月03日

三島中州先哲の教え(二松学舎大学創始者)

三島中州先哲の教え(二松学舎大学創始者)

人材教育の基本精神は「誠(まこと)」にある
 ~二松学舎大学創始者の三島中州先哲の教え~

 二松学舎大(東京都)広報誌に、山田安之理事長と全日空(ANA)の大橋洋治社長との対談が掲載されました。山田理事長は、二松学舎大の創始者・三島中州氏の理念を語り、その話題から大橋社長は、三島氏の師匠である陽明学者・山田方谷先哲の教育理念について語られています。

 「人材育成には[心・胆・頭・技(しん・たん・とう・ぎ)]の考えを柱にしています。現代の教育は
 「頭」を鍛える思いが強いのですが、本当は
 ・一番目に「心」が温かで真っ直ぐでなくてはならない。
 ・二番目に「胆」とは、勇気や決断力。
 ・三番目が常に冷静な「頭」。
 ・最後の「技」とは、行動することと考えています。
 現代の教育は、教科書(マニュアル)通りの答えを覚えることが優先されがちですが、それよりも
 「親孝行」といった価値観の教育が大切です。親孝行の原点は「感謝」や「誠意」であり、山田方
 谷の理念と言えます。」

山田方谷先哲は、4歳から素読を始め、様々な学者・私塾で学び、人生50年の時代に33歳まで、学問を続け50歳を越えて備中松山藩の改革を指導し、明治になってから新政府の要請を断り、陽明学の中心であった閑谷学校の校長として全国から方谷を慕って集まった若い青年たちを亡くなる直前まで指導されました。
*備中松山藩:岡山県高梁市周辺、約5万石の藩、

・山田方谷エピソードから(9歳の時の塾(思誠館)での話し)塾の訪問者が、若者と一緒に学ぶ
 山田方谷少年に対して質問をした。
(訪問者)「学問はなんのためにやるか?」とたずねると、
(方谷少年)「治国平天下」と即答し、訪問者は腰を抜かしたとか。

教育者の志(心)と指導理念で、教育環境は大きく変わることを感じます。今の教育は、知識の詰め込みと心のこもらない管理主義の教育現場では、学校への不満の表現として、卒業式で礼(頭を下げない)をしない風景を見たとき、ここまで教育環境が落ちたかと感じました。現在の日本社会にも「心の成長の足りない大人たち」が増え、不透明な世相として現れ、子供たちも感じ取り、未来を描けないのではと心配します。

 学校現場の教師や多様な分野の指導者が、山田方谷の理念[心・胆・頭・技]を理想として、学問を深め、言葉だけでなく態度「技」からも若者に学ぶことの意味を示して欲しいものです。
 これは、私自身も親として子供に見せて行かないといけませんが、自分を省みるとまだ反省することも多々あります。できることを少しづつやりたいと思っています。

余談ですが、全日空の改革は、山田方谷の理財論や陽明学の「知行合一」の考えの基、大橋洋治社長は、鬼気(危機)迫る思いで、実行していると対談の中で語られています。日本の航空業界での躍進は、陽明学をベースとする高い理想が支えているよう感じました。


さて明日の運動会、まず保護者として明日に向けた準備から頑張ります。率先垂範のさわり程度は、しないとと久々に大橋社長の言葉を読んで思いました。


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Posted by ノグチ(noguchi) at 23:18│Comments(0)偉人
 
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